本当の三年間 第06話 滑った記憶 エピソード1

公開日: 2005/09/08

 時は流れ、友人は親友へと変わり、最高に楽しかったとき、ついにそのときはやってきた。そう、スキー学習である。なぜスキーなのか、とか、そんなことはどうでも良い。とにかく、初の宿泊行事、期待は最高潮である。そして、色々な事件が起こった。どれもこれも、ウブで純粋で、だけどちょっと背伸びしたような、そんな懐かしい思い出達だ。
 朝、異常なくらい早起きして、学校へ向かった。体育館での先生達の軽い説明や注意を受けた後、バスに乗り込み、出発した。確か俺はバスの中ではっぱ隊のYATTAをカラオケで歌っていた。途中で止められた記憶も・・・。
 まぁ、その他もバスの中はいくら話しても尽きない話で盛り上がっていた。そういえば、このときは本当に頭を通さずに口から勝手に言葉が出ていた。あの感覚はもうない。不思議だ。
 さて、サービスエリアで休憩しながら、バスは新潟(=宿泊所)に到着した。荷物を降ろし、部屋に運ぶ。この後確かゲレンデに出て、雪合戦をした。そして濱野を雪に埋めたのも懐かしい思い出だ。
 そして、時は流れ、夜の8時、レク大会が始まった。これはみんなで「未成年の主張」をしたり、出し物をしたりするものだ。俺は未成年の主張のトップバッターになってしまい、意味不明なことを言っていた(確か「未成年の主張、はーじまるよ~!」とか言っていた)。他にも当時ブレイク中だった「軟式グローブ」のパクリの「硬式グローブ」を小松と共にやったり、はちゃめちゃだった。そういえば、水野君が「ナタリー」を歌ってるときに、一緒に(?)熱唱した記憶もある。ちょっとはしゃぎすぎた。反省。
 そして、就寝。

 そんな訳がないだろう。修学旅行の夜の定番と言えば、当然暴露トークである。部屋のみんなでやれ誰が好きだのやれ誰がかわいいだのとワイワイ話していた。俺もこのとき初めてみんなに好きな人を話した。嗚呼、懐かしい思い出だ畜生。
 他にもごちゃんが暴走し始めたり、ジローが全身黒タイツで就寝してたり、「ごちゃんは外反母趾」というセリフが何故か爆笑を呼んだりと、ハチャメチャだった。
 後半になると、さらにみんな携帯のメールで他の部屋とも交流しだした。これは良いアイデアと思い、俺も自分の携帯(この頃はPHSだった)を出した。そこには電池切れの表示があった。慌てて充電器を探しても見つからない。家においてきたのだ。結局、泣く泣くそのまま就寝した。
 そうそう、家に帰った後充電してメールチェックすると、女子からのメールがかなりあった。妙な切なさがあった。
 今はどんな女子からも滅多にメールは来ない。でも、挫けたりはしない。きっとこの携帯に登録している女子のメアドの大体は、もう変更されているのかも知れない。でも、それはきっと、彼女がどんどん新しい仲間を得て、俺のことを忘れたからだろう。彼女は今、不自由していないんだ。そう思えば、やっていける。

 ・・・な訳ないっつーの。

[第06話、終]