公開日: 2005/12/28
2日目に突入した。この日から本格的にスキー開始となった。ゲレンデに出て「待たせたな、俺のゲレンデよ!!」なんて言いながらスキーを履いていた気がする。
班は事前に取ったアンケートで実力別に分けられていた。俺は上から2番目のクラスだった。女子は知っている人が居たものの、男子は全員知らない(全員と言っても俺を含めて3人だけだが)人で、最初は正直戸惑った。しかし、幸いなことに彼らは気さくに俺に話しかけてくれて、そのお陰で打ち解け合えた。ちなみに片方は後に某HPの管理人だと分かり、少し感動した。
さて、それでスキーだが、実は小学校4年生以来滑っていないのでスキーを履くことさえままならなかった。しかし、隣を見るとそこには同じ状態のメンバー達が居て、正直ホッとした。久しぶりのスキーはそれなりの出来だったが、グループの他のメンバー達の方が遙かに上手く、正直焦った。
そういえば、俺はリフトに乗るときに、乗った後すぐに地面の雪にストックを突き刺す癖があるのだが、この癖が災いして、ストックが地面に引っかかり、リフトから落ちて、リフトと地面に挟まれ、ついにリフトを止めてしまった。あれ以来、地面にストックを突き刺すことはしていない。もっとも、それ以来スキーに行っていないからなのだが。
そうそう、そのとき、俺は仕方なく、その後ろの同じ班の女子達のリフトに乗らせて貰った。しかし、小学校時代からのことなのだが、本当に俺は女子と話すのが苦手で、このときも殆ど何も話せなかった。確か「まつげが長い」とか言われたのを覚えている(そのまつげはその長さ故に雪が積もって大変だった、ただ、自分ではそれほど長いとは思っていない)。多分、中学3年間で俺が女子と最も近づいたのはこのときだと思う。「寂しいな、俺」と、今、書きながら少し自分を慰めた。
しかし、そんなことを言った女子達はきっともう忘れているだろう。でも、俺はそのリフトに乗っていた3人の中で誰が言っていたかさえ覚えている。俺はそこまで女子との接点がなかったのか、と今、何故か悔やんでいる。
スキーが終われば、部屋ではゴロゴロとトランプなどをし、友達とダラダラしていた。しかし、独身男達がそんなことをしている間に、恋人達は様々な行動を起こした、というのは、後で知ったことだが。友人の九石もその一人で、確か俺にいきなり「俺、男として最低なことしちまったよ・・・」とか言ってきた。俺が意味も分からず「エェ~」という顔をしていると、丁度その場に九石の彼女が現れた。悩んだ挙げ句に俺は「失敬するよ」と言いながら近くにあった男湯に入っていったのを覚えている。確かこの後、その九石を励ます為に、俺達は何も分からずに「お菓子パーティー!!!」とかやっていた。このとき、竹田と共にC組の部屋からさりげなくお菓子を頂戴したのも懐かしい思い出だ。
ちなみに、彼がなぜショックを受けたのかは後に風の噂で知ることになる。しかし、それを聞いた俺は全く自分には関係ないことだと思っていた。別に九石と俺との距離が遠かったとか、そんな意味ではない(事実、そうは思っていない)。それだけ俺と恋愛の間は広かったということだ(いや、今もだから、過去形なのはおかしいか)。今も、当然彼女は居ない。俺を好きになる要素が、俺にさえ分からないし、だから多分、これからもそれは続くことだろう。
恋愛は必ずしもしなければならないものだとは俺は思わない(実を言うと、今、これを書いているのはクリスマスイヴ、いや、今が12月25日の01:21だから、今はクリスマスか、まぁとにかく、だからこそこんなことを書いている)。
しかし、そうなる為には道行く幸せそうなカップルを、恋愛の持つ独特の高揚感を、結婚生活を、老後ののんびりした夫婦生活も、そして、孤独を恐れる心をも羨ましくないと思えなくてはならない。俺はそうあることが、出来るだろうか?
とりあえず、又、誰かを好きになるまでには答えを出しておこうと思う。
[第06話、終]