本当の三年間 第08話 滑った記憶 エピソード3

公開日: 2008/03/18

 正直な話、このスキー学習、楽しかったのは覚えているのだが、それ以外は何一つ思い出せない。すっかり忘れてしまっている。正直、今まで書いたスキー学習の話も結構あやふやなのだ(もっとも、事実とそこまで大きいズレもないはずだ、と信じたい)。そして、最終日に至っては、自分でも不気味なくらい記憶が空白になっている。何があったのだろう。勿論、ドラマティックなことはなかったと断言できる。
 ただ、他の人達は俺と違い、この機会に愛やら恋やらを進展させたりしていた。そしてそれは、初々しく、痛々しく、そして甘酸っぱいものばかりだ。そして、それは大抵、男子が原因となっていた。
 今思い出せば、女子は全てが男子より上手だった(勿論例外もいるだろうが)。恋愛に関しては特に。なぜ、同い年なのにあそこまで違いが出るのか、不思議だった。そして、考えてで結論は、演技力の違いだということをボンヤリながらに感じた。勿論、「ボンヤリ」としか分かっていないから、「どうして?」と聞かれても答えられる訳はない。ただ、その犠牲(と言ってもこれは被害妄想の一種だが)になった俺としては、悔しい。ただ、悔しい。それだけだ。

 そして、楽園のようなスキー学習が終わり、日常に戻り、そして俺は悪夢を見ることになる。まぁ悪夢と言っても早い話、「初めて彼女(?)ができ、そしてフラれた」という極めて単純なもので、「悪夢」と言うには余りに情けないことかも知れないが、それでも俺にとっては大きなことであった。時折、怒りにも似た悲しみが込み上げてくることもあった。そして錯乱状態のまま、中学2年生へとなってしまった。それからだ。何かが狂いだした。

 そして、その悪夢は、俺の中で、今でも続いている。

[第08話、Unfinished]